おい、そこの2人乗り!
みなさんはこんな言葉を聞いたことがあるだろうか。
ー『あなたがそれに気づいたとき、それもあなたに気づいている。』
有名な言葉だ。
人生は気づきにあふれている。
朝起きて、雨音がして今日は雨だと〝気づく〟
自転車に無茶な乗り方をしてコケて、危ない行為だったと〝気づく〟
川の水は海の水より冷たいと〝気づき〟
三平方の定理の便利さに〝気づき〟
隣のあの子への恋心に〝気づく〟
〝気づき〟とは発見であり、知識欲を満たしてくれる。
〝気づき〟を繰り返し人は生きて行く。
『気づく』という行為は、すべての人間が体験したことがあり、人類に与えられた生きる力の源のようなものである。
しかし
この世界には決して気づいてはいけない物もある。
正確には『たとえ気づいたとしても、気づいてないふりをしなければならない』物である。
僕が先日、友人と町を自転車で観光していた時の話だ。
その夏の日は快晴で、風もあり、とても心地よいサイクリングだった。
まわりを田んぼに車のほとんど来ない囲まれた長い一本道を風を受けながら爽やかに走る。
とても気持ちがよかった。
だが、それがいけなかった。
僕はあまりの気持ちよさに歌ってしまったのだった。
なにげなく、自然と。
この
長い長い下り坂を
君を自転車の後ろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくり
ゆっくり
下っていく
その瞬間(とき)だった。
キキィー!!
僕は、、、、気づいてしまった。
この歌、、、、
〝全然爽やかじゃない。〟
みなさんもよく思い浮かべて欲しい
『この長い長い下り坂を
君を自転車の後ろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下っていく』情景を。
どうだろう?
全然爽やかなシーンではなくないか。
この長い長い下り坂、またアーティストの出身地である横浜という地域の特徴から、ある程度、この下り坂には勾配があると考えられる。
そこに、2人乗りで下って行っているのだ。
このまま『下っていく』とすると、相当のかなりの運動エネルギーと位置エネルギーが2人には関わってくると考えられる。重力加速度も考えるととてつもないスピードになることになる。
今思えば、そんな状況の中、主人公がこの行動を選択するのはごくごく自然なことだったのであろう。
そう主人公はこの行動をとったのである。
〝ブレーキ イッパイ 握リシメテ…〟
ギ、
ギギィ、、、、
ギギギィー、、、
ギ、ギギギィ!
ギ…。
一般的学生の自転車の性能を考えるとかなりのブレーキ音がその長い長い下り坂に響き渡っていると容易に推測できる。
後ろに人を乗せた状態で、坂の下に向かってかかる体への負担。
完全ブレーキ状態でも、坂を下ってしまうほどの急勾配を運転する緊迫した状況。
ゆっくりなスピードで保たなければならない左右のバランス。
それに加えて大音量のブレーキ音。
とても会話できる状態ではない。
つまり、
この2人は会話もなく無言で、
大きなブレーキ音が周りに鳴り響く中、
ギギ、ギギ、と数10センチずつ
ガクン、ガクンと、つんのめりながら坂を下りているのである。
それも、長い時間。
爽やかのカケラもない。
僕はそれに気づいてしまった。
そこまではよかった。
〝気づき〟の本当の恐怖はここからだった。
『何故、僕はこの事に20年近く気づかなかったのか。』
ここである。
この歌は多くの人に愛される名曲であるとともに、その歌の特性から毎年夏になると自然と歌われるかつてない国民的一曲であるといっても過言ではないだろう。
爽やかの代表のような曲。
実際にぼくももう数え切れないほどこの歌を歌った覚えがある。
だのになぜ。
一度たりとも、『この曲が実は全く爽やかじゃない。』ことに気づかなかったのか。
こんだけ流れてたり歌ってたりしていたら、自分が気づくか、もしくは誰かが気づいて自分に教えてくれていたはず。
いや、ほぼ間違いなく気づいた人は過去にはいるだろう。
なぜ、未だにそれが話題にならないのか。
考えられることは1つ。
気づいた人は、もう、、、。
大きな力が、闇が、この曲が爽やかでないことが広まることを恐れている。
そして、それを阻止していることに、もはや疑う余地はないだろう。
しかし、僕は言った。
みなさんに、この〝気づき〟を言ったのだ。
これで世界は変わる。
今、僕の心にはあの曲には決して無い、虹がかかった空の様な爽やかさに満たされている。さっきまでのセンチメンタルな気持ちが嘘の様だ。
恐らく気づいたら、時を待たずして、いつか奴らが現れ、その存在を消される、または頭をからっぽにする何かをされてしまう。そんなストーリーが容易に思い浮かぶ。
これから超特急で逃げる日々が始まるが、みなさんもぼくのように大きな力を恐れず、これからもたくさんの〝気づき〟を発見していってほしい。
『ピンポーン』
おや、誰か来た様だ。
これも一種の〝気づき〟、、なのかな?フフ
はいはーい、今いきまーす。
それではみなさん、
長いこと書いてしまいましたが、お付き合いありがとうございました。
また会える日まで。
サヨナラ!🚌